治療後のメンテナンス
Maintenance治療後のメンテナンスの重要性
Importanceインプラントは歯槽骨と強固に結びついており、安定して噛むことができます。しかし、治療後は丁寧にケアをしなければトラブルにつながるおそれがあります。インプラントは「第二の永久歯」とよばれることもありますが、永久歯と違って歯根膜(歯根と顎骨の間にある組織)がありません。したがって炎症が骨まで広がりやすく、インプラントの脱落を招いてしまう危険性があります。
インプラントの周囲の炎症を回避するためには、日々のブラッシングと歯科医院での定期的なメンテナンスが重要です。プラークが溜まらない清潔な歯を保つことで、インプラントの病気を予防できます。
インプラント周囲炎について
Periodontitisインプラントそのものは虫歯になりませんが、歯周病と同じような症状が起こります。それがインプラント周囲炎です。周囲の組織が感染することで出血や排膿などが起こり、固定源である歯槽骨を溶かしてしまいます。痛みなどの自覚症状がほとんどないため、気付いたときには大きく進行している場合があります。
インプラント周囲粘膜炎(軽度・中等度・重度)
-
軽度
インプラントの周囲の歯肉が腫れており、支えている歯槽骨が溶けてきています。まだインプラントはグラグラしておらず痛みもありませんが、違和感を覚える場合があります。炎症が軽い段階なので、歯磨き指導やクリーニングなどで改善を目指します。
-
中等度
炎症によって歯槽骨が半分ほど溶けています。歯肉が大きく下がって上部構造が露出しており、見た目が悪くなります。インプラントがグラグラとしてきて、歯肉から血や膿が出る場合があります。状態によって患部の切除や再生療法を選択します。
-
重度
歯槽骨の多くが溶けており、インプラントがグラグラと大きく揺れています。食べ物はしっかり噛むことができず、歯肉からの出血や膿がひどくなります。強い口臭も起こり、インプラントが自然に抜け落ちることがあります。こうした重度のケースでは、やむを得ずインプラントを撤去します。
インプラント周囲炎になる原因
インプラントの周囲組織は、天然歯に比べると炎症が起きやすくなります。そのため、歯周病と同様にお口の中を清潔な状態にしていなければ、インプラント周囲炎が起きてしまいます。重要なのがプラークコントロールで、歯垢を取り除かず溜めてしまうと、細菌が増殖して感染しやすい環境になります。このほか、喫煙やストレスが溜まる生活習慣、口呼吸、歯ぎしりといった癖も、インプラント周囲炎のリスクを高めます。
他院で埋め込んだインプラントの撤去について
Removal他院で埋入したインプラントが脱落などしてしまった場合でも、当院でリカバリー対応しています。引っ越してしまい前の歯科医院へ通えない、ほかの歯科医院で診てほしい、など、さまざまな事情が起こり得ます。インプラント治療について多様な経験をもつ歯科医師が、埋入時の状況や術後のケアの様子を確認し、インプラントを撤去するなど適切に対応します。
定期検診について
Regular checkupインプラントの周りは炎症が広がりやすく、日々のケアが大切になります。それでもプラークを取り残してしまうと、インプラント周囲炎が進行してしまいます。そのため、自覚症状がなくても定期検診を受けていただくことをおすすめします。インプラントの状態をチェックし、クリーニングをしてプラークなどの汚れを取り除きます。また、歯磨き指導も行ない患者さま自身によるケアの質をさらに高めます。
インプラント治療にともなう一般的なリスク・副作用
- 機能性や審美性を重視するため自費(保険適用外)での診療となり、保険診療よりも高額になります。
- インプラントの埋入にともない、外科手術が必要となります。
- 高血圧症、心臓疾患、喘息、糖尿病、骨粗鬆症、腎臓や肝臓の機能障害などがある方は、治療を受けられないことがあります。
- 手術後、痛みや腫れが現れることがありますが、ほとんどの場合1週間ほどで治ります。
- 手術後、歯肉・舌・唇・頬の感覚が一時的に麻痺することがあります。また、顎・鼻腔・上顎洞(鼻腔の両側の空洞)の炎症、疼痛、組織治癒の遅延、顔面部の内出血が現れることがあります。
- 手術後、薬剤の服用により眠気、めまい、吐き気などの副作用が現れることがあります。
- 手術後、喫煙や飲酒をすると治療の妨げとなるので、1週間は控えてください。
- インプラントの耐用年数は、口腔内の環境(骨・歯肉の状態、噛み合わせ、歯磨きの技術、メンテナンスの受診頻度、喫煙の有無など)により異なります。
- 毎日の清掃が不十分だった場合、インプラント周囲炎(歯肉の腫れや骨吸収など)を引き起こすことがあります。
クリーニング・PMTCにともなう一般的なリスク・副作用
- 内容によっては保険適用となることもありますが、歯の病気の治療ではないため自費(保険適用外)となることもあり、その場合は保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
- 歯科医院でのクリーニング・PMTCだけでは、虫歯・歯周病の予防はできません。日ごろから歯磨きなどのケアに努めることで、予防効果を上げられます。
- 歯肉の腫れや歯肉炎のある方は、器具が当たることにより痛みや出血をともなうことがあります。
- 歯と歯肉の境目への歯石の付着が多い方は、歯石除去後、歯肉から出血が見られることがあります。多くの場合、クリーニング後しばらくすると出血は治まり、1~2日で歯肉は治癒します。
- 着色汚れや歯垢・歯石はクリーニング・PMTCで除去できますが、効果は永続的ではありません。いずれも再付着するものなので、定期的に受診して処置を受けることが大切です。